魅力ある男(1)
○丸山公園・ベンチ
ビジネス・スーツ姿の真田敬二(38)が弁当をがっついている。
横で制服を着たOL、三好舞子(25)が、それをニコニコ見ている。
真田、慌ててご飯がのどにつっかえる。
舞子「(笑って)もう、ゆっくり食べて。お昼休み、まだ長いんだから」
笑いながら、おにぎりを齧る真田。
○オフィスの女子トイレ・中
お化粧を直している舞子と同僚。
同僚「それで毎日お弁当作る程気に入ったの」
舞子「だって、エリートサラリーマンが昼休みに公園で花壇の世話だよ」
同僚「どうだか。どこの会社かも知らないんでしょ」
舞子「……」
同僚「携帯の番号も知らないんでしょ?」
舞子「……」
同僚「お米代、もったいない」
鏡の中の舞子、浮かない表情。
○丸山公園・花壇の傍(夜)
花の付き方を確認している真田。
花壇横に、“この花壇を世話してくれる人、募集”の看板がたっている。
安永栄吉(59)が看板をはずしに来る。
安永「これ、もういらないね。もう、真田さんが面倒みてくれるんだから」
真田、静かに微笑む。
看板を持って立ち去る安永。
真田、安永を見送り、突然、横の生垣の中から毛布を取り出す。
○ビルの車庫・外(夜)
警官に連れられて出て来る真田。
警官「ね、もっといい寝床、あるからさ。探してみなよ。人んとこの車庫で寝てたら、また通報されるよ。はい、これ」
警官、抱えていた毛布を真田に渡す。
毛布を受取り、頭を下げる真田。
(続く)
(次回は、4月11日水曜日アップ予定です。お楽しみに。)
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